2001年10月。転職先の会社へ行くまでのあいだに少し休みを作れたので、 海外旅行に行くことにした。転職先が外資なので、英語に慣れるためというのも目的の一つ。
最終出社日は10/15だったが、退社の挨拶メールを送ったり、どこに行こうか考えているうちに、 あっという間に数日が過ぎてしまった。20日になってようやくHISへチケットを買いに行く。
行く先はニュージーランドの南島にした。直行便の ニュージーランド航空 は値段が高かったので、 シンガポール航空 を選択。シンガポール乗り継ぎになるが、飛行機に乗る機会が少ない僕に とってはその方が楽しい。日程は22日出発、30日帰国。帰りのニュージーランド→シンガポールの 区間でちょうど良い便に空席が無かったので、一日早くシンガポールへ行ってシンガポールの 一日観光も楽しむことにした。
出発の直前だったので宿の予約は不可。 海外旅行に不慣れなので初日の宿くらいは予約しておきたかったが、しかたがない。 まぁこれも経験だ。がんばってみよう。
(Backpack New Zealandより。
黄色の下線は今回通った場所)
早朝の成田エクスプレスで空港へ。第一ターミナルに来るのは何年ぶりだろう。懐かしい。 早々にチェックインを済ませようと手荷物のセキュリティチェックへ進むと、中を見せるように 言われてしまった。ヘッドライトがあるのを見つけると、電池を抜くように言われる。 9/11のテロの影響でチェックがすごく厳しくなっている。
早めに両替も済ませておこうと、空港内の銀行へ。NZ$1=61.15円。 日本で両替したら現地のコインはもらえないという当たり前のことを忘れいて、 ちょっと失敗した。お釣りの円硬貨で財布が重くなってしまった。
成田を12:00に出発。込み具合は50%くらい。ラッキーなことに自分の席は横一列空いていた。 機内の映画メニューでドラマ「百年の恋」の第一話をやっていた。 第一話だけは見ていなかったので、見る。機内で一人、泣く。
6時間でシンガポールの チャンギ空港 へ到着。次の便の出発まで3時間ある。広い空港の中をブラブラ。 アジアのハブ空港だけあって、土産物屋の他にも植物園や子供の遊び場まであった。 インターネット端末のエリアもある。15分でSP$2。サークルのメーリングリスト宛にメールを書く。 日本語は読めたが入力ができないので、しかたなく英語で。短いメールに30分もかけてしまった。 クライストチャーチ行きはほぼ満席だった。日本発の便と違い、いろんな人種の人がいる。 機内放送は英語と中国語。シンガポールもニュージーランドも日本の南にあるので お互いに近いと思い込んでいたが、クライストチャーチまでは9時間もかかるらしい。 飛行機に乗ってからそのことを知った。 本日の支出(SP$1 = 約68円): |
ニュージーランド中央部の白い山々を超えると、クライストチャーチが近い。 着陸少し前から、隣の席の人と話す。僕と同じくらいの年の人で、 休暇を利用してスコットランドからニュージーランドの友人に会いに来たとか。 休暇は3週間だそうな。うらやましい。 経路はエジンバラ−ロンドン−シンガポール−クライストチャーチで、 飛行機に乗っている時間だけでも23時間くらい。ごくろうさまです。 と、ちゃんと会話していたかのように書いているが、 実際にはsorry, sorryと何度も聞き返さないと聞き取れなくて、 早くも試練が始まっていたのでした。
平原に入ると、下には早速ニュージーランドのシンボル、羊が見えてくる。 滑走路のすぐ横にも羊がウロウロ。「羊だ羊だ!」と少し興奮気味に隣に話したのだが、 よく考えたらイギリスにも羊はいっぱいいるのでした。どおりで反応が鈍かったわけだ。
昼前にクライストチャーチ空港 に到着。成田やチャンギに比べるとすごくこじんまりとした空港だ。 入国審査でいきなり「観光ですか?」と聞かれてびっくり。日本人だった。
まず空港のインフォメーションへ行って、明日以降の交通機関の予約を試みるが、 最初に乗ろうと思っていた観光鉄道がいきなり予約一杯。今はハイシーズンなのだそうな。 知らなかった。しかたなく逆ルートで南島を回ることにしたが、 今度は途中寄ろうと思っていた氷河村の宿が取れない。 多くの宿がオープンする午後4時頃にもう一度トライしてみて、というアドバイスをもらって、 取りあえず引き上げる。
次は今晩の宿の予約(もちろんインフォメーションでも予約できるのだが、 電話での会話にチャレンジしてみた)。まずテレホンカードを購入。 ニュージーランドのテレホンカードは、カードに電極のついているタイプのICカードである。 「地球の歩き方」に良さそうなB&Bが載っていたので電話してみるが、 B&Bはやめてモーテルしかやってないとのこと。 断って他を探すのも面倒だったのでそこに決めてしまう。 ところが、バスで市街地まで出て宿の場所へ行ってみると、 そこはパーキングに変わっていた。 予約したときに「同じ場所だ」って言ってたじゃないか! (きっとこちらの聞き方が悪かったのでしょう...)再び電話をするが、 オセアニア訛りのせいか、僕の聞き取り能力のせいか、理解不能。 場所がわからないからキャンセルしたい、 と必死に説明してキャンセルしてもらった。向こうも苦笑。あー情けない。
次に電話したYMCAは、 すぐに話が通じて予約OK。シャワー、トイレ、洗面が共同で素泊まりNZ$40(約2500円)。 今は無職の身だから、節約節約。
街の中心部へ出て昼食を食べられるところを探すが、既に3時頃なのでどこも空いてなく、 屋台で済ませる。ナン風の生地の上に焼肉とキャベツを乗せたPocket PITA。 旨かった。日本では見たこと無かったが、海外ではよくある食べ物らしい。
夕方になったので、街のインフォメーションへ。氷河村の宿は問題なく予約できたので、 ついでに明日の宿も交通機関も全部確保してしまった。ニュージーランドのインフォメーションでは、 全国のほとんどの宿の値段が集中管理されていて、予約を入れるとその場でバウチャーを発行してくれる。 たいしたものです。今回は英語のトレーニングも兼ねていたはずなのだが、 クライストチャーチへ戻るまでのすべての予約が済んだので、 あとはそれに沿って身を動かすだけのお気楽旅行なってしまったのでした。 まぁ、ハイシーズンだったから仕方なかったということで。
ところで、クライストチャーチは日本人が異様に多い。旅行者に加えて、 語学留学をしている人が多いからだと思う。特に高校を卒業したくらいの女の子が多く、 街を歩いているとしょっちゅう日本語が聞こえてきて、拍子抜けしてしまう。日本語の看板が多い。
次はインターネットカフェを見つけたので入る。店員が日本人だったせいか、 後ろを通り過ぎる会話の半分以上が日本語だった。 一時間使うと、一時間無料チケットをもらえるサービスがあったので、 メールを書いたりして一時間粘る。 無料チケットは数日後クライストチャーチに戻ったときに使うつもりだったが、 結局ついに使うことは無かった。
次は夕食。地球の歩き方で「ニュージーランド料理の店」と書いてあった店へ行ってみる。 コースメニューは、グリルしたラム、温野菜、スープ、フルーツ。 まぁこんなものかな、という感じで特に感動なし。
レストランの向かいに図書館があったので入ってみる。雑誌コーナーに行ってみると、 日本の雑誌で置いてあったのはアエラと週刊プロレスと女性自身。 バラバラの品揃えだが、この3冊で大概の日本人のニーズは満たせるのかな、と妙に納得。
さっきのレストランのシステムがわからなくてビールをオーダーしそこねたので、 帰りがけに買って宿へ戻る。今日は結局観光せずに終わってしまった。
本日の支出(NZ$1 = 約61円):
空港バス | NZ$ | 4.00 |
テレホンカード | NZ$ | 5.00 |
YMCA | NZ$ | 40.00 |
PITA | NZ$ | 4.50 |
バウチャー | NZ$ | 414.00 |
地図 | NZ$ | 7 |
インターネット | NZ$ | 5.00 |
夕食 | NZ$ | 14.95 |
ビール、翌日の朝食、シャンプー | NZ$ | 17.4 |
朝から雨。でも外を見ると、みんな傘もささずに犬の散歩をしたり、 ジョギングしたり。日本では考えられない光景だ。
今日は一日、長距離バスで移動である。朝8時出発。乗客9人中、日本人が5人。 ここでも日本人が多い。しばらく雨の中を走っていたが、1時間もすると晴れて山も見えてきた。 広い牧草地の中、羊を眺めながら進む。イギリスの田舎みたいである。 |
途中、よくニュージーランドらしい風景として紹介されるテカポ湖へ。カラッと晴れたので、 青い湖の向こうに白いマウントクックがよく見えてとても気持ちが良い。 土産物屋さんでセーターのセールをやっていたので購入。少し防寒着が足りないかなと思っていたので、 ちょうど良かった。もちろんニュージーランドウール100%。 |
バスは次にマウントクック村へ向かう。真っ青な色をしたプカキ湖沿いに北上してゆくと、 遠くに見えていたマウントクックがどんどん大きくなってくる。1時間ほどでマウントクック村へ到着。 目の前に雪をたっぷりつけたマウントクックの山並みが迫っている。ここで一時間の休憩。 |
同じバスに乗っていた50歳くらいのご夫婦と一緒に昼食を食べる。 クライストチャーチに留学中の娘さんの所へ遊びに来たついでに南島をまわっているそうだ。 旦那さんは無類の鉄道好きのようで、 この後は最南部のインバーカーニギルから丸一日鉄道に乗ってクライストチャーチへ戻るとのこと (ちなみに、この路線は、その後のニュージーランドの鉄道民営化の際に廃止されたらしい)。 クィーンズタウンは奥さんの希望だが、 そこへの移動も「移動中も風景を楽しまないと!」というご主人のポリシーで飛行機は 使わせてもらえなかったそうな。鉄道の旅への思いを語り始めると止まらなくなる旦那さん、 かなりオタク入ってます。奥さんは少しお疲れ気味。 |
マウントクックを出ると、乗客はさっきのご夫婦と自分の3人だけになった。 出発してすぐのところで、道を塞ぐ羊の群れに遭遇。ちょっと感動。 |
その後は平坦で少々退屈な道が続く。 平坦なのをいいことに運ちゃんはやたらとバスを飛ばしている。 平原が続くので至る所にセスナ用の簡易飛行場がある。 途中、トイレ休憩を兼ねて果物販売所に停車した。 唯一、一人で食べきれそうだったキウイの袋を購入。 6個で100円くらい。さすがに本場は安い! クィーンズタウンが近づいてくると、まわりにブドウ畑が増えてきた。 この辺は国内有数のワインの産地らしい。こうした観光スポットに来ると、 運ちゃんは運転しながら観光案内をしてくれる。が、ほとんど理解できなかった。 オーストラリア訛りだったせいだろう。そうに違いない。(苦笑) |
クィーンズタウンの入り口あたりでバスから降ろしてもらい、宿 (Bungi Backpackers) へ。今日はバックパッカーズと呼ばれる、旅行者用のもっとも安価な宿である。 相部屋&自炊が普通のようで、みんなワイワイ騒ぎながら夕食の支度をしていて楽しそうだ。 自分はまだあの中へ入ってゆく勇気は無いので、個室へ。 といってもスチール製の二段ベッドが置いてあるだけの狭い部屋で、 一泊NZ$26(約1600円)。 ちなみに、この宿のフロントの人は日本人だった。 クィーンズタウンが気に入って3年も住み着いているのだとか。 |
荷物を置いた後、宿のある丘を下りて街の方へ出てみる。 クィーンズタウンは、ワカティプ湖という大きな湖の湖畔の街である。 四方を山に囲まれていてすごくきれいな風景だ。 |
街はブティックや土産物屋が並び、軽井沢のような雰囲気。 日本からはすごく遠いはずなのだが、ここも日本人がいっぱいだった。 店の店員も日本人だったりする。 日本食のレストランも多いが、あえて日本人のいなさそうなレストランバーへ入る。 ニュージーランドだからラムを食べよう、と思ってラムステーキを頼んだはずが、 出てきたのは骨付き肉。Shank(スネ肉)とStakeを見間違えた(ぜんぜん違うじゃん)。 臭みたっぷりの大きな肉をやっとの思いで食べる。 でも今日はビールが頼めたのでよしとしよう。 宿には共用シャワーがあるらしかったが、外人と接するのに疲れたので省略。 明日はバスの出発が早いので早めにベッドに入る。 でも、ガラス窓とカーテンで区切られただけの隣の部屋が遅くまで騒いでいて、 なかなか眠れなかった。 |
本日の支出(NZ$1 = 約61円):
午前中のおやつ(パイとジュース) | NZ$ | 3.90 |
セーター | NZ$ | 49.95 |
絵葉書 | NZ$ | 1.00 |
昼食(シチューとピラフ) | NZ$ | 11.50 |
午後のおやつ(キッシュ) | NZ$ | 2.50 |
キウイ6個 | NZ$ | 1.65 |
インターネット | NZ$ | 2.00 |
夕食(ラムのスネ肉) | NZ$ | 21.40 |
翌日の朝食 | NZ$ | 7.45 |
あまり落ち着いて眠れず早起きしてしまったので(小心者.....)、 6時頃に宿を出て夜明けの湖畔で朝食をとる。 今日は西海岸へ向かうバスで一日移動である。 西海岸はバス以外の交通手段がないせいか、 昨日のバスに比べるとずいぶん混んでいる。30人くらい。8:10に出発。 今日は雲が低く、雨が降りそうな天気だ。 途中、ワナカ湖というきれいな湖の湖畔を通るが、もう湖にも少々飽きてきた。 |
ワナカ湖を過ぎると、西海岸へ抜けるための峠道を登ってゆく。 「ここに道を作るのは大変だったんだ。もうすぐ橋を渡るから谷の深さを見てみろ。」 と運転手が解説している。日本には普通にある峠道なので特に珍しくないが、 平原ばかりのニュージーランドでは珍しいのかも知れない。 みんな一生懸命、身を乗り出して外を見ている。
「少し歩いたところに滝があるから見に行こう」と言って、 峠のパーキングでバスが止まった。 しばらくすると反対方向からも同じバスが来て、 その運転手がこちらのバスに乗ってきた。 運転手はここで交代して、それぞれの出発地点に戻るシステムらしい。
ちなみに、その滝も日本ではよくある滝でした。
峠を下りて西海岸へ出ると、道路は右へ折れて、タズマン海沿いに進んでゆく。 西海岸は海のすぐそばまで山が迫っているので、ほとんど集落は無く、 うっそうとした森が続く。帰ってきてから知ったのだが、 この西海岸一帯とマウントクックは世界遺産に登録されているのだそうで (きっとバスの車内放送でもしゃべっていたのだと思うが、 聞き取れなかった.....)、西海岸のこの道も"World Heritage Highway" という名前が付いていた。見晴らしの良いポイントが現れるたびに、 バスは駐車場に入って写真タイムになる。
午後4時半にフランツジョセフ着。今日の宿はモーテル(たぶんここ: Glow Worm Cottages) である。明るい部屋に大きなベッドが一つ。昨日の宿に比べるとはるかにいい。
ここは、氷河観光の町である。すぐ近くに、フランツジョセフ氷河がある。 トレッキングの盛んなニュージーランドで少なくとも一日はトレッキングを したいと思っていたので、明日一日は氷河を見に行くことにした。 まず町外れのビジターセンターへ行って山の地図を購入。 次にスーパーで食料の買出し。パンとシチューの缶詰を持っていくことにした。
少し登山口の方まで歩いてみたが、雲が低く垂れ込めて雨もぱらついてきた。 明日も天気はあまり良さそうにない。
一度宿へ戻って荷物を置いてから、夕食へ出かける。 入ったレストランのメニューに"venison"(鹿肉)とあったので、 少々高かったがそれにした。味は淡白だったが、 牛肉よりやわらかくて美味しかった。
会計を済ませて店を出ようとすると、 今日のバスに乗っていたご夫婦が食事をしていて、 「ここへ来て一緒に飲もう」と声をかけてくれた。 まともにしゃべれる訳がないので、しらふだったら断って 帰っていたところだと思うが、ビールで酔っ払っていたので 「まぁいいか」と思って座らせてもらう。
TAYさんという中国系のシンガポール人で、 奥さんがインテリア関係の仕事の研修でニュージーランドへ来ることになったので、 そのついでに旅行しているのだそうだ。 酒好きのご主人から何度もワインを注がれてフラフラになっていたので、 何をしゃべったのかあまり覚えていないが、 名前のこと(中国名と英語名の両方をもっているのだそうだ)、 語学教育のこと(シンガポールは英語と中国語が必修)、 自分が転職の合間に旅行していること、 といったことをしゃべった気がする。 TAYさん夫妻も明日はここに滞在して、 同じ行程でクライストチャーチへ行くとのこと。 明後日のバスでの再開を約束して別れた。
本日の支出(NZ$1 = 約61円):
昼食(Fish&Chipsとスープ) | NZ$ | 12.80 |
山の地図 | NZ$ | 14.45 |
翌日の食糧 | NZ$ | 31.25 |
夕食 | NZ$ | 31.25 |
インターネット | NZ$ | 2.00 |